『ブラッシュアップライフ』で変化しないもの

安藤サクラさん主演、バカリズムさん脚本のドラマ

『ブラッシュアップライフ』を毎週楽しみに見ている。

野暮は承知で少しあらすじを説明してしまうと

安藤サクラさん演じる主人公が不慮の事故で亡くなり

その後死後の世界に行ってバカリズムさん演じる受付の人に「来世はアリクイです」と言われ、ショックを受け、徳を積んで来世も人間になるために

自分の人生をやり直すという話。

 

今週はちょうど三回目の人生をやり直しているところだった。

 

一回目の経験があるから二回目以降は一回目の失敗を繰り返さず、

なおかつ人のためになる事をして徳を積む、

見た目保育園児だけど頭の中は大人なので

どんどん人の不幸を遠ざけるような行動をとり、自分も、以前よりもっといい人間になれるようちゃんと動ける。もともと彼女賢い人だから本当にきちっと動く。その行動によって少しずつ主人公の人生が変わっていく。

その変わっていくところ、前回の人生との違いが詳細に描かれていて

ものすごく面白い。

 

でも、何回目の人生でも変化しないものがあって

それが実家の家族(父・田中直樹さん、母・中島ひろ子さん、妹・志田未来さん)と保育園の頃からのお友達(夏帆さん、木南晴夏さん)である。

 

たとえば三回目の人生では

東京で一人暮らし、頑張って仕事をしていて

充実しながらも少し疲れている主人公が実家に戻ると

実家なりの豪華な料理で両親と妹が迎える。

お父さんは娘の仕事を「すごいなぁ~」と素直に感心して、具体的に言わないけど

讃えてる感じが伝わる、照れてる主人公の雰囲気もいいし。お母さんは「ちゃんと食べてるの?」とベタに温かくありがたく心配してくれて、妹はなんだかちゃっかりさんだけど、必ず車でお姉ちゃんを駅まで送ってくれる。

そして友達は、いくつになっても変わらず仲良しで、何回目の人生でもいつも

子どもの頃からのバカ話に花を咲かせて大笑いしてる。

 

このドラマの主人公みたいに何回も生まれ変わって、そのことを自覚しながら

自分の人生をやり直し、変化させていく人って多分この世には実在しない。

でも、この特殊すぎる設定の主人公が

家族とか昔からの友人という

全然特殊ではない私たちと共通の、ホッとして戻れる場所を持っている。

 

その安心感や温かさが、正直、異常要素の多いこのドラマを

見る人全てが共感できる普遍性を持つドラマにしている、

と考えたりしました。

 

私にとっては、なくなった居場所に戻ってこられたような

そんな嬉しさも感じるドラマだった。